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耕地と農地は用いられる場面がことなり、それに伴って信用度も大きく異なります。
今回は耕地と農地がどのような場面で用いられるのか?耕地と農地のどちらが信用度が高いかをお話しします。
目次
耕地=統計で用いられる用語
耕地は主に統計で用いられる用語で、‟耕地面積”という言葉はその最たる例です。
耕地面積とは、実際に農作物が栽培されている面積のことです。
ご存じない方がほとんどだと思いますが、農林水産省では、日本全国でどれだけの土地が農作物の栽培に利用されているのかを把握するために、毎年耕地面積の調査を行っています。
参考までに、農林水産省の耕地面積の調査報告ページのリンクを貼っておきます。
‟実際に”農作物の栽培ができる土地を耕地という
耕地の定義は「農作物を栽培することを目的とした土地で、なおかつ実際に農作物の栽培ができる土地」です。
「農作物の栽培ができる土地」とあるように、作物を植えていない土地も耕地とみなされることがあります。
その場合は何らかの理由で短期間の間農作物を栽培できない場合のみとなります。
農林水産省による厳正な調査のもと、耕地と判断される重要なポイントは、実際に農作物の栽培ができる土地かどうかというところにあります。
たとえ、農作物を栽倍することを目的とした土地であっても、実際に農作物の栽培ができなければ耕地ではないということです。
耕地でなくなってしまう瞬間とは?
ここで、毎年野菜を栽培している農家の老夫婦を例に挙げましょう。
毎年元気に野菜を栽培していた老夫婦でありましたが、高齢になるにつれて農作業をするのが体力的に厳しくなってきてしまったことから、ここ一年で農業を続けることを断念してしまいました。
子供に後を継がせることも考えましたが、子供は都心で働いており、家庭も持っています。
そのため、子供に仕事を辞めさせて家族を連れて農業を継がせることは難しいものがあります。
その結果、もう過去1年以上作物を栽培していない土地だけが残ってしまいました。
このような場合、農林水産省の職員による調査から、今後数年の間に再び耕作する意思がない判断され、この土地は耕地ではなくなってしまいます。
そして、実際に例に挙げたようなケースで、現在問題となっている耕作放棄地の増加が続いているのも事実です。
この農林水産省による耕地面積の調査は、耕作放棄地がどれだけ増加しているかを知るための重要な指標でもあります。
農地=法律上で用いられる用語
農業を行うための土地を指すときは、‟農地”の方が‟耕地”よりもなじみがあるかもしれません。
実は、農地という言葉は、法律の用語として用いられることが多いんです。
日本には、農地法と呼ばれる法律があります。
農地は耕作者自身が所有することを最も適当と認めて,耕作者の農地取得促進,権利保護と土地の利用関係の調整によって,耕作者の地位の安定と生産力増進をはかることを目的とする法律。
出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
よくわからないと思いますが、要は農地をちゃんと管理して、もめごとが起こらないようにするための法律ですね。
農地かどうかは見たままで判断される
農地法では、耕作を目的として用いられる土地を農地と定義しています。
ちなみに耕作とは、「土地に労力と費用をかけて、肥料をやったり水やりをしたり、土を耕したりして作物を栽培すること」です。
しかし、この定義によると、農地は耕作を‟目的”としている土地で、実際に農作物が栽培されているかどうかは関係ないということになります。
そして農地であるかどうかの判断ですが、耕地のように農林水産省による厳正な調査によって判断されるわけではありません。
農地かどうかは、見たままで判断されます。
ここに法律の抜け道があるんです。
土地を農地ということにして税金をごまかしている人がいる!?
現時点で耕作していなくとも、耕作に用いられていると判断された場合、農地として認められます。
そこで、中には農地と判断される基準の穴をついて、税金をごまかす人がいます。
たとえば、耕作に用いる気はさらさらない土地に木を一本植えて、あたかも「耕作していますよ~」という風に見せかけたり。
こうして、農業に用いる気が全くない土地を農地として認めてもらうんです。
農地として認めてもらえると何がいいかというと、支払う税金が安くて済むからです。
もし、土地が農地として認められない場合は、その土地は住宅地として認められることになり、支払う税金が農地に比べて激増してしまいます。
つまり、使ってはいないけど、手放したくない土地には木を植えて農地として認めてもらい、支払う税金を少なくすることができるというわけです。
セコい話ですけどね(笑)
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両者の違いは‟信用度”
耕地と農地の特徴を比べると、このようになります。
耕地 ・・・ 農林水産省による厳正な調査のもと認められた土地で、正真正銘農業に利用されている土地を指す。
農地 ・・・ 農業を行う目的で用いられている土地を指すが、なかには農業に利用されていない土地も含まれている。
このことから言えるのは、耕地と農地という言葉には信用度に差があるということです。
耕地といえば間違いなく、実際に農業で使われている土地のことを指しますが、農地の場合はそのかぎりではありません。
ある地主が「この土地は農地だ!」と言い張っても、その土地が実際に農業に利用されているるところを見たことがないということも起こりうるのです。
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農学部に通う大学生。農学の知識を発信していきたいという思いと、自分の力で稼いでみたいという思いをもってブログを書いてます。趣味は音楽鑑賞、一人旅。日本各地の温泉を巡るのが夢。