αデンプンとβデンプン 冷めたごはんがおいしくない&消化にも悪い理由

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お米の消費量が減りつつあるといわれる日本の食卓。

確かに小麦を使った麺類やパンもおいしいけれど、それでもやっぱりお米が一番です。

炊き立てほかほかのごはんは何物にも代えがたいおいしさがありますよね。

ところが、そんな炊き立てでおいしいごはんも、冷めてしまえばおいしくなくなってしまいます…

じつは、冷めたごはんは味や食感が悪くなるだけでなく、消化にも悪くなってしまうのです。

もはや、冷めたごはんはいいとこなしと言ってもいいかもしれません(^^;

なぜ、ごはんは冷めてしまうといいとこなしになってしまうのか?

その理由は、お米の成分であるデンプンが変性してしまうからなんです。

お米はデンプンでできている

私たちが食べているお米とは、イネの種子の胚乳(はいにゅう)と呼ばれる部分のことです。

胚乳には養分が蓄えられており、この養分がデンプンというかたちで貯蔵されているのです。

つまり、私たちはこの養分が詰まったデンプンを食べているわけですね。

そして、デンプンは糖(グルコース)がたくさんつながってできています。

お米は嚙み続けていると甘くなってきますよね?

皆さんご存知かもしれませんが、これは唾液に含まれているアミラーゼという酵素がお米のデンプンを糖に分解するからなんです。

この糖(グルコース)が甘みを感じる原因です。

アミラーゼによるデンプンの分解というのは、デンプンを構成しているたくさんつながった糖の鎖をプツプツと切っていく作業のことをいうんですね。

αデンプンとβデンプン

お米に含まれるデンプンにはαデンプンβデンプンのふたつの状態があります。

この線一本一本が、デンプンを構成する糖の鎖です。

図にあるように、αデンプンはフワッと広がった状態、対してβデンプンはピシッとしまった状態になっています。

炊き立てのホカホカごはんは右のαデンプンの状態です。

ところが、炊き立てごはんが徐々に冷めてくると、しだいにαデンプンがβデンプンに変化していきます

また、お米を炊く前のデンプンの状態はβデンプンの状態に近く、生デンプンと呼ばれます。

そして、αデンプンが生デンプンの状態に近いβデンプンへと変化してしまうことをデンプンの老化と言います。

デンプンの老化は温度や水分量の変化によって引き起こされ、この現象がごはんをおいしくなくしてしまったり、消化に悪くしてしまう原因なのです。

せっかく炊いたご飯が、炊く前に戻ってしまうようなイメージですかね。

全ての原因はβデンプンにある

炊き立てごはんが冷めるとおいしくなくなって、消化にも悪くなってしまう原因はαデンプンがβデンプンが変化してしまうデンプンの老化にあるとお話ししました。

では、炊き立てごはんと冷めたごはんがそれぞれ舌の上にあるときの状態はどのようになっているのでしょうか?

図であらわすと↓のようになります。

デンプンの老化は温度と水分量が変化することによって起こると説明したように、炊き立てのごはんは高温度のためデンプンを構成する糖の鎖が柔らかくなっており、さらに水分子の運動も活発になっています。

その結果、お米のデンプンはαデンプンへと変化しているのです。

そして、図をみればわかるように、糖の鎖がフワッと広がっていることで唾液に含まれている酵素アミラーゼがくっつきやすくなります。

アミラーゼは糖の鎖を切るはたらきをもつので、どんどんとデンプンが糖に分解されていきます。

このように、αデンプンの構造が分解のしやすさ、しいてはごはんの味や食感、消化の良さに影響しているのです。

一方で、炊き立てだったごはんが冷めてくると、温度の低下によって次第にデンプンを構成する糖の鎖が固まっていき、同時に水分子の運動も低下していきます。

このように、時間とともにピシッとしまった状態のβデンプンに変化するデンプンの老化が進行していくわけです。

完全にβデンプンに変化してしまうと、図のようにアミラーゼがデンプンの表面にしかくっつけなくなります

この状態では、アミラーゼが糖の鎖を切るのにかなり時間がかかってしまいます

その結果、デンプンが十分に分解されないまま胃へと運ばれていくのです。

これが、冷めたごはんが消化に悪い理由です。

したがって、冷めたごはんの味や食感がよくない原因もβデンプンの構造にあるといえます

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ご飯をあたためれば万事解決!

やはり、ごはんは炊き立てじゃなければいけないのか…と言われればそうわけでもありません。

冷めてしまったごはんをもういちど温めてやればいいのです。

デンプンの老化は温度と水分量の変化、すなわち温度が低下することによっておこるので、再び温度を上げてやればβデンプンからαデンプンへと変化します。

このように、βデンプンからαデンプンへと変化することをデンプンの糊化(こか)といいます。

これはごはんを炊くときにおこる生デンプンからαデンプンへと変化する場合と、温めなおすときにおこるβデンプンからαデンプンへと変化する場合の両方を指します。

ですから、冷めたごはんを再び温めなおす場合でも、十分味や食感、消化の良さを取り戻すことができるというわけです。

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